
縦型ドラマという言葉を耳にしたものの、「うちのマーケティングにも活用できるの?」と疑問に思っていませんか?特にスマホ動画やSNS運用には慣れていても、縦型のショートドラマを企画・制作した経験が浅いと、具体的な効果や始め方がわからないものです。
しかし、ご安心ください。縦型ドラマは9:16のスマホ特化型シネマとして急成長していて、上手に活用すれば少ない予算でも高いエンゲージメントを生み出せます。本記事では、縦型ドラマが注目される背景から縦型ドラマを使って動画施策のメリット、成功事例、制作方法、さらにマーケティングへの応用まで、初心者にも分かりやすく丁寧に解説します。今、注目の「縦型ドラマ」のすべてを見ていきましょう。
目次
1. 縦型ドラマが注目される背景と急成長マーケット

まず、縦型ドラマがこれほど注目を集めている背景を押さえておきましょう。その人気の裏には、スマホ世代の視聴習慣の変化や、中国発のブームが世界に広がっている現状があります。
1-1. スマホ視聴が主流化したZ世代のメディア行動
Z世代(1990年代後半〜2010年代初頭生まれ)は生まれた時からスマホやSNSに囲まれたデジタルネイティブ世代です。彼ら彼女らの動画視聴はスマートフォンが主役で、1日の平均スクリーンタイムは約7時間22分にもなります。(※1)
TikTokやYouTube Shortsといったショート動画も日常的に視聴しており、現役大学生の調査では約9割が毎日ショート動画を見ていることがわかりました。しかも、そのうち3割は1日1時間以上も視聴しているとのことです(※2)。
このように移動中やスキマ時間にサッと観られる縦型動画はZ世代のライフスタイルにすっかり溶け込んでいます。情報が凝縮されテンポが速いコンテンツは「タイパ(時間対効果)が良い」と好まれ、つい最後まで見てしまう中毒性も指摘されています。スマホ世代のこうした視聴習慣の高まりが、縦型ドラマ人気の土台となっているのです。
1-2. 中国発のブームと日本・世界への波及
縦型ショートドラマは中国で火がついたコンテンツ形式です。中国では「短劇(デュアンジュ)」と呼ばれ、SNS上の1分程度の縦型連続ドラマとして誕生し、今や国内の映像市場を変革するまでの存在感を示しています。
中国の動画プラットフォーム(抖音/Douyinや快手/Kuaishouなど)で爆発的な人気を受けて、大手配信サービスも縦型ドラマに参入しました。その市場規模は2027年には約1.4兆円(約140億ドル)に達するとの予測もあります (※3)。
中国国内でコンテンツが飽和しつつあることから、制作各社は海外市場にも進出を始めていて、実際に米国の専用アプリがAppStoreのエンタメ部門でトップになるなど世界的な広がりを見せています。日本でも2023年に入ってユーザーからの支持が一気に高まり、縦型ドラマ専門のクリエイター集団が誕生するなど着実にシーンが形成されつつあります。
1-3. 「WEBREEN」誕生―TikTok・Reels・Shortsが生んだ新ジャンル
このようにSNS発の縦型ドラマが人気になる中、それ自体が一つの新ジャンルとして確立されつつあります。縦読み漫画がWEBTOON(ウェブトゥーン)と呼ばれるのに対し、縦型動画ドラマはWEBREEN(ウェブリーン/WEB+SCREEN)と称され、TikTok・Instagram Reels・YouTube Shorts発の物語コンテンツとして地位を築いています。
実際、TikTokでは「#ショートドラマ」のハッシュタグがネコのミーム動画に匹敵する検索ヒット数を記録するなど、ショートドラマ投稿がひとつのムーブメントになってきました。クリエイターがこぞって参入し、狙ってバズらせるためのノウハウも蓄積されています。こうした盛り上がりに伴い、従来の単発CMやバズ動画とは異なるアプローチでブランドメッセージを届けられる新たな手法として、企業からの注目も集めています。
2. 縦型ドラマのメリット。企業が参入すべき理由とは?

では、企業やクリエイターにとって縦型ドラマに参入するメリットとは何でしょうか。ここからは、縦型ドラマだからこそ得られる3つのメリットを見ていきます。
2-1. 没入感と完走率:縦画面フル使用が生む圧倒的エンゲージメント
スマホでSNSを眺めていて、思わず動画に見入ってしまい、気づけば最後まで視聴していた……そんな経験はないでしょうか。縦型ドラマは画面いっぱいに映像が表示されるため他の情報が目に入りづらく、視聴者を物語に没入させる力があります。
特にキャラクターの表情や感情がダイレクトに伝わる縦画面のクローズアップは、スマホ越しとは思えない高い臨場感を生みます。その結果、短い尺であっても物語への引き込みが強く、最後まで見てもらえる確率(視聴完了率)が非常に高くなります。
実際、ある調査ではショート動画の平均完視聴率が60〜70%にも達し、長尺の動画より格段に高いことが報告されています (※4)。最後まで視聴してもらえるコンテンツはコメントやシェアなどの反応も得やすく、縦型ドラマは圧倒的なエンゲージメントを生み出すのです。
2-2. 制作スピード&コスト最適化:短尺×シリーズ化の威力
縦型ドラマは短尺エピソードの積み重ねで物語を展開するため、制作にかかる時間と費用を最小限に抑えられる点も魅力です。一話あたり数十秒〜数分程度と短いため、限られた撮影素材で完結するうえ、シナリオも無駄を削ぎ落して簡潔にできます。
その結果、企画から配信までのサイクルを非常に短くでき、極端な例では20〜100話規模のシリーズを1週間で撮影するケースもあります。撮影期間が短ければ人件費やロケ費も少なく済み、セットも最小限で構いません。
実際、登場人物を若く魅力的な俳優に絞り、狭い範囲のシーンで展開することで制作コストを徹底的に抑えた作品も多く見られます。このようにスピーディーかつ低コストで作れる縦型ドラマは、予算やリソースが限られた中でも導入しやすいフォーマットと言えるでしょう。
さらにシリーズ化によって、視聴者の反応を見ながら柔軟に路線変更したり続編を企画したりと、アジャイルなコンテンツ運用も可能になります。
2-3. 拡散力とマネタイズ:SNSアルゴリズムとの高相性
縦型ドラマはSNSとの親和性が極めて高く、バズ(拡散)を生み出す力にも優れています。視聴者が最後まで見てくれるとアルゴリズム上の評価が上がり、さらに多くのユーザーにリーチしやすくなります。また短い尺ゆえに繰り返し再生(ループ視聴)されることも多く、投稿直後から再生回数が急増しやすい傾向があります。
実際、TikTokでは100万回を超える再生数を叩き出すショートドラマも珍しくなく、一企業のプロモーション施策でも数百万人規模にリーチできることも。すごい。こうした大量の視聴者を獲得できれば、マネタイズの面でも恩恵が大きいです。
プラットフォーム側も短尺動画クリエイターへの収益分配を拡充していて、YouTubeではショート動画への広告収益分配が始まり、TikTokもクリエイターファンド等で投稿者を支援しています。
さらに縦型ドラマ専用の配信サービスでは視聴者がコインを購入してエピソードをアンロックする課金モデルも登場していて、新しい収益源となりつつあります。企業にとっても、アルゴリズムに乗れば広告費ゼロで爆発的なリーチを得るチャンスがあるため、縦型ドラマは費用対効果の高いマーケティング手法と言えるでしょう。
3. 縦型ドラマ制作のステップと技術的なポイントとは?

それでは、実際に縦型ドラマを制作する際のステップとポイントを見ていきましょう。企画から撮影・編集、そして必要なツールや機材まで、縦型ならではの技術的なコツを解説します。
3-1. 企画・脚本:縦フレームならではの視点設計とペース配分
企画段階では、まず縦長の画面比率を踏まえた視点設計が重要です。横長では映せる風景の広がりも、縦型では高さ方向を活かした演出が求められます。例えば、登場人物同士の会話シーンでも、一人ひとりを縦画面いっぱいのバストアップで交互に映すことで、表情やリアクションに集中させることができます。
スマホの小さな画面でも伝わるよう、構図はシンプルに、重要な要素は画面中央付近に配置することがポイントです。また、縦型では文字情報との相性も良いため、画面上にLINE風のメッセージやタイトルテロップを適宜表示して、状況説明を補足するのも有効です。 脚本作りでは、短い尺の中でテンポ良く起承転結を収める必要があります。
特に冒頭数秒の工夫が肝心で、最初の1〜3秒で視聴者の興味を掴む強いフックを入れましょう。具体的には、いきなりクライマックスの場面から始めて「数時間前……」と遡る演出や、驚きの台詞・映像で始めるなどです。
その後もダラダラと状況説明をするのではなく、早い段階で物語のフック(釣り針)を投入します。ある縦型ドラマ制作のプロは、冒頭2秒・5秒・15秒の各時点で物語上の展開を用意し、「ヒキ」→「ツカミ」→「畳みかけ」と段階的に視聴者を惹きつける構成を心がけていると述べています。
このように秒単位で盛り上がりを作ることで、途中離脱を防ぎ最後まで見てもらいやすくなります。また、エピソード全体の尺が短いぶん、会話や説明は端的にしてテンポを維持しましょう。
登場人物の人数も絞り込み、シーンの切り替えも最小限にすることで、視聴者が状況を把握しやすくなります。シリーズ物の場合は各話ごとにミニクリフハンガーを用意し、「続きが気になる!」と思わせて次のエピソードへの誘導を図ります。

3-2. 撮影:9:16アスペクト比で映える構図・カメラワーク
撮影では、縦型フレームを意識した構図とカメラワークを工夫しましょう。基本は被写体を画面中央に大きく捉えるセンターフレーミングが効果的です。横幅が限られるため、余計な背景を省き人物や対象物にフォーカスした画作りを心がけます。
また、横型のドラマと異なり、画面上下に余白が生まれやすい分、字幕やテロップの位置を考慮して被写体の構図を調整することも大切です。特に動画下部には字幕が入ることを想定し、顔や重要なアクションが字幕に隠れない位置に収めるよう留意します。 スマホ視聴では手ブレが顕著に感じられるため、三脚やジンバルを使って安定した撮影を行うのがおすすめです。特にスマートフォンで撮影する場合は、市販のスマホ用スタビライザーを活用すると移動しながらの撮影でもブレを抑えられます。
プロがミラーレス一眼で撮る場合も、カメラを縦向きに固定できるL字ブラケットや縦型リグを用いることで安定した縦撮影が可能です。被写体との距離感にも注意し、近距離ではより寄って表情を捉え、引きの画では縦の空間を活かして頭からつま先まで映すなど、ショットごとに最適なフレーミングを探ります。こうした工夫によって、9:16の縦画面で映える映像を撮影することができます。

3-3. 編集:テロップ・SE・BGM―スマホスワイプを止める演出術
編集段階では、ユーザーのスクロールを止めて最後まで見てもらうための演出テクニックを駆使します。まず重要なのはテロップ(字幕)の活用です。スマホで音声をオフにして視聴するユーザーも多いため、会話やナレーションには全て読みやすい字幕を付けましょう。
字幕は情報伝達だけでなく、強調表現としても有効です。重要なキーワードでフォントを変えたり、登場人物の心情を短い文字で補足したりすることで、視聴者の理解と没入を助けます。
また、SE(効果音)やBGMも短尺ドラマの盛り上げ役です。場面転換に合わせた「シュッ」という移動音や、驚きの瞬間に鳴らす「ジャーン」という効果音など、音でリアクションを演出すると臨場感が高まります。
BGMは作品の世界観を一瞬で伝える大切な要素です。冒頭から雰囲気に合った音楽を流し、感情の起伏に合わせて音量や曲調を調整しましょう。例えば緊迫したシーンでは無音や不協和音を使い、幸福なシーンでは明るい曲を乗せるといったメリハリで、短時間でも視聴者の感情を揺さぶることができます。
映像編集のテクニックとしては、カット割りを多めにしてテンポを維持することがポイントです。無駄な間(ま)や静止時間は極力省き、次々と新情報が現れるように繋ぎます。ただし速すぎて内容が追えなくならないよう、重要なシーンはあえて間を取るなど緩急もつけます。
冒頭数秒に最もインパクトの強いカットを配置する、印象的なサムネイル(動画冒頭の静止画)を設定する、といった施策もスクロールを止める上で効果的です。また、動画のラストは視聴者に次のアクションを促す工夫をしましょう。
シリーズ物の場合はクリフハンガーで終わり「続きは次回」と表示したり、単発の場合でも「この後衝撃の結末が…?」など意味深なテキストを最後に挿入して、リプレイ(もう一度再生)を誘発する仕掛けも有効です。
プラットフォームごとの流行エフェクトやフィルターも余裕があれば取り入れ、ただし過度にならないよう作品の雰囲気に合わせて使います。最終的に、音ありでも音無しでも伝わるかチェックし、縦型ドラマならではのスピード感と分かりやすさが両立した映像に仕上げましょう。

3-4. 制作ツール&機材リスト(スマホ/ミラーレス/縦型リグ)
では、制作にはどんなツールや機材を使えばいいのでしょうか。通常、プロの制作会へ発注することが想定されますが、必須ツールをリストアップしましたので、詳しくみていきましょう。
スマートフォン/デジタルカメラ
最近のスマホ(iPhoneや高性能Androidなど)は縦型ドラマ撮影にも耐えられるほどの性能を持っています。4K撮影対応機なら画質も良好で、そのまま縦持ちで手軽に撮影できます。ただし長時間の手持ち撮影は手ブレが起きやすいので、スタビライザーの併用がおすすめです。
映像美にこだわるなら、ミラーレス一眼やデジタル一眼レフカメラを縦配置で使う方法がオススメです。アクエリアスでは、この方法で撮影しています。フルHD〜4Kで高画質撮影でき、レンズ交換で表現の幅も広がります。縦撮影用にL字ブラケット(カメラを縦固定できる器具)や縦グリップを装着すると安定します。
三脚・ジンバル
固定撮影には三脚が必須です。スマホ用三脚アダプターを使えば任意の角度で固定できます。動きのあるシーンではジンバル(スタビライザー)があるとスムーズな移動撮影が可能です。動きのある撮影の場合には、手ブレが全然違います。
マイク
映像だけでなく音声も重要です。スマホ内蔵マイクでも撮影可能ですが、セリフを鮮明に録るには外部マイクを使いましょう。昔からTVへのクレームは映像が乱れた時よりも、音声が乱れた時だった、なんて話をよく聞きます。実際、YouTubeではバックグラウンド再生が主流になる中、ドラマであっても映像を見ないで音声だけ聴いているというユーザーもいるくらいです。つまり、考え方によっては、映像よりも音声の方が重要だとも言えます。ピンマイクやショットガンマイクをスマホ・カメラに接続すれば、雑音を抑えてクリアな音声が収録できます。
照明
室内撮影や夜間シーンでは照明機材があると品質が向上します。リングライトは手軽で人物の表情を明るく照らせますが、ドラマを撮影するとなると、きちんとした照明を用意した方が良いでしょう。もちろん、小規模な撮影であれば、ポータブルのLEDライトでも撮影可能です。
編集ソフト
撮影した映像の編集には、スマホアプリでもPCソフトでも対応できます。スマホなら無料のCapCut(カット編集・字幕挿入・BGM追加に便利)やInShot、VNなどが人気です。テンプレートやエフェクトも充実しており、直感的に縦動画が編集できます。PCで本格編集する場合はAdobe Premiere ProやDaVinci Resolveなどで、9:16プロジェクトを作成して編集します。
音楽・効果音素材
BGMや効果音を付ける際は、著作権フリーの音源サイト(例えばYouTubeオーディオライブラリや効果音ラボ)や有料の音源サイト(Artlistなど)から素材を入手すると安心です。TikTokやInstagramの投稿時には、プラットフォーム内の楽曲ライブラリからトレンド音源を選ぶことも可能です。
4. 配信プラットフォーム別の最適化・アルゴリズム対策とは?

続いて、縦型ドラマを配信する主要プラットフォームごとの最適化ポイントを押さえましょう。TikTok、Instagram Reels、YouTube Shortsではそれぞれユーザー層やアルゴリズムの特徴が異なるため、戦略を少しずつ変えると効果的です。
4-1. TikTok:初動3秒のフック&ループ構造
TikTokではユーザーが高速でコンテンツをスワイプしていくため、最初の数秒で注意を引けるかが勝敗を分けます。冒頭3秒以内に強烈な印象を与えるフックを用意し、「続きを見たい」と思わせましょう。例えば、衝撃的な場面から始めたり、「この後驚きの結末が…!」といったテキストを冒頭に重ねたりすると効果的です。
TikTokのアルゴリズムは視聴完了率やループ再生率を重視するため、ループ構造の動画に仕上げるのも有効な手法です。動画の終わりと始まりが繋がるような演出にしておくと、視聴者がそのままもう一度再生してしまい、結果としてループ視聴が発生します。例えば物語の冒頭と結末で同じシーンを繰り返したり、結末に伏線を残しておいて再度冒頭を見返したくさせるなどの工夫です。
またTikTokではトレンドの楽曲やハッシュタグも拡散の追い風になります。人気の音源をBGMに使ったり、関連するハッシュタグ(例: #ショートドラマ 等)をキャプションに含めて投稿することで、アルゴリズムに乗りやすくなるでしょう。ただし、むやみに多くのタグを付け過ぎるとスパム判定される可能性もあるため、関連性の高いタグを数個選ぶ程度に留めます。
以上のような要因が組み合わさって最終的な費用が決定します。「動画の内容(企画)」「撮影規模」「編集・表現方法」という視点で、自社の作りたい動画はどの程度の手間を要しそうか考えてみると、見積金額に対する理解が深まるでしょう。

4-2. Instagram Reels:ハッシュタグ&音源トレンド活用法
Instagram Reelsではハッシュタグと音源選びが拡散の鍵になります。Instagramのアルゴリズムは投稿の関連性をハッシュタグや音源から判断するため、適切なタグ付けと楽曲選択でリーチが大きく変わります。
まずハッシュタグは、自分のコンテンツに合ったキーワードを厳選して付けましょう。関連性の高いタグを5〜10個程度添えるのが目安です。例えば縦型ドラマなら、#ショートドラマ や #連続ドラマ といったジャンルタグに加え、ストーリーの内容(#恋愛ドラマ や #ホラー など)やターゲット(#Z世代 など)に応じたタグを組み合わせます。反対に全く無関係の人気タグを大量につけるとスパムとみなされ露出が下がるので注意が必要です。(※5)
次に音源ですが、Reelsでは流行中の楽曲を使うと発見タブで取り上げられやすくなります 。(※6)アプリ内で再生数が伸びている音源には「人気」マークが付くので、それらをチェックしてみましょう。ドラマのセリフが主役の場合でも、BGMとしてトレンド音源を小さめの音量で重ねておくという手もあります。
こうすることで該当音源の検索結果やリールの音源ページに自分の動画が表示されるチャンスが生まれます。また、投稿時にはカバー画像(サムネイル)やキャプションも設定できます。キャプションには物語を引き付ける一言説明や質問を添えて、視聴者の興味を引きましょう。
Instagramでは保存(ブックマーク)や共有も評価につながるため、共感できるメッセージ性のあるドラマに仕上げたり、「後で見返したい」と思わせる工夫を盛り込むことも有効です。

4-3. YouTube Shorts:シリーズ再生リストで視聴完走率を伸ばす
YouTube Shortsでは、シリーズ物の縦型ドラマを公開する際に「シリーズ再生リスト」機能を活用すると視聴完了率の向上が期待できます。シリーズ再生リストとは、関連する動画を公式な連続コンテンツとしてグループ化できるプレイリストで、設定したリスト内の動画同士が優先的におすすめ表示される仕組みです。
これを使ってエピソードを順番にまとめておけば、視聴者が第1話を見た後に第2話、第3話…と自動的に連続再生されやすくなります。特にストーリー物の場合、途切れず次の展開を見てもらえるため完走率(シリーズ全話を視聴してもらえる割合)が大きく高まります。
具体的な活用方法としては、YouTubeのプレイリスト設定で「シリーズとして設定」をオンにし、各エピソード動画を追加します。さらに、各動画のタイトルや説明文にも「第◯話」「連続ドラマ◯◯シリーズ」などと明記しておくと視聴者にもシリーズものだと伝わりやすくなります。
ショート動画は単体でフィードに流れてくることが多いため、他のエピソードへの導線を用意しておくことが大切です。例えば、コメント欄にプレイリストへのリンクを貼り「続きを一気に見るならこちら」と案内したり、動画内で「続きはプロフィールからチェック!」とテロップを出したりするのも有効でしょう。
YouTube Shortsのアルゴリズムも視聴者のシリーズ継続視聴には好意的に働くと考えられるため、連作コンテンツはぜひシリーズ機能でまとめて、ストーリー完走率の最大化を狙いましょう。
5. マーケティング活用法とKPI設計

では、縦型ドラマを実際にマーケティング施策として活用する際のポイントと、効果測定に用いる指標(KPI)設計について見ていきましょう。単に再生数を伸ばすだけでなく、ブランドに貢献するためのシナリオ作りや視聴者の動線設計、KPI設定が重要です。
5-1. ブランドタイアップ/商品訴求のシナリオ設計
縦型ドラマを使って自社商品やサービスを訴求する場合は、ストーリーに自然に溶け込むシナリオ設計が重要です。視聴者は広告臭が強いと感じると離脱してしまうため、まずは純粋に楽しめる物語を作り、その中にさりげなくブランドメッセージを織り交ぜましょう。
例えば、化粧品ブランドであれば「就活を控えた主人公がメイクを通じて自信をつけていく物語」にするなど、製品の役割を物語の一部に組み込みます。飲料メーカーであれば、商品を登場人物たちが日常的に飲んでいるアイテムとして背景に置きつつ、ストーリー自体は友情や青春を描く、といった具合です。 ポイントは、伝えたい商品の魅力やブランド価値をストーリーのテーマに昇華させることです。単に商品特徴を説明するのではなく、その商品がもたらす体験(喜びや驚き)が感じられるエピソードを作ります。その上で、製品名やロゴの露出は必要最低限に留めます。視聴者に「これは広告だ」と意識させずに最後まで見てもらい、気付けばブランドの良さが印象に残っている状態が理想です。
実際、中国のマイクロドラマでは銀行や旅行会社などが自社サービスを物語に溶け込ませて成果を上げています。また、ブランドタイアップの場合はスポンサー企業とも認識を共有し、物語優先で演出する勇気も必要です。企業サイドとしては、つい商品を前面に出したくなるところですが、そこをあえて抑えることで結果的にブランド好意度を高める効果が期待できます。縦型ドラマならではの親しみやすさを活かし、視聴者の共感を誘うシナリオを心掛けましょう。

5-2. 視聴完了率・リピート率・CV貢献度の指標と改善サイクル
縦型ドラマ施策の効果を測るには、KPI(重要指標)の設定と改善サイクルの構築が欠かせません。注目すべき指標として、視聴完了率、リピート率、そして最終的なCV(コンバージョン)への貢献度が挙げられます。
視聴完了率
動画を最後まで視聴した人の割合です。縦型ドラマではこの完走率が特に重要で、物語に引き込めているかを端的に示します。各プラットフォームの分析ツールで視聴維持率グラフを確認し、どのタイミングで離脱が発生しているかを把握しましょう。
例えば、TikTokアナリティクスでは視聴者が離脱した秒数を確認できます。それを元に、「5秒付近で離脱が多いなら導入が冗長かも」「中盤で離脱が増えたら展開が単調かも」と推測し、次回制作時に該当箇所の演出を強化するなど改善につなげます。
リピート率
同じユーザーが繰り返し視聴した割合、またはシリーズ複数話を連続視聴した割合を指します。縦型ドラマはリピート再生されることで真価を発揮します。特にシリーズ物の場合、第1話を見た視聴者が第2話以降も追ってくれたか(継続視聴率)を測定しましょう。
この数値を上げるには、各話の終わりに次への興味を最大化する工夫(クリフハンガーや次回予告)や、登場人物の魅力付けを強めて「推しキャラ」としてファンを増やす戦略が有効です。単話でのリピート再生も、伏線や隠れ要素を散りばめておくことで「もう一度見よう」を誘発できます。
CV貢献度
動画視聴が最終的なコンバージョン(資料請求、サイト訪問、購入など)にどの程度寄与したかを測ります。直接計測が難しい指標ですが、例えば動画内でキャンペーンコードを提示し、その使用数を追跡したり、視聴後にプロフィールのリンククリック数が増加したかを観察したりする方法があります。
Google AnalyticsやSNSのインサイト機能を使って、動画公開前後でのウェブサイト流入や商品ページ閲覧数の変化を分析することも有効でしょう。ブランド認知目的の場合は、視聴者アンケートで好意度や認知度の変化を測定する手法も考えられます。 これらのKPIを設定したら、PDCAサイクルで継続的に改善します。つまり、動画公開→データ分析→課題抽出→次回企画に反映、という流れを繰り返すのです。
例えば、初回は完了率50%だったものが、次回改善して70%に向上したら成功ですし、逆に数値が悪化したら原因を考察します。このようにデータに基づいてストーリー構成や演出を微調整していけば、縦型ドラマ施策の効果を着実に高めていくことができます。

5-3. ファン化を促すCTA配置とコミュニティ運営テクニック
縦型ドラマを継続的に配信する場合、視聴者をファン化してコミュニティを育てていくことが重要です。そのために、適切なCTA(Call To Action)の配置と、その後のコミュニティ運営の工夫を凝らしましょう。
まず、動画内やキャプションで視聴者に次のアクションを促します。シリーズ物ならエピソードの最後に「続きが気になる方はフォローをお願いします!」とテロップを出したり、投稿文に「いいね&フォローで次回を見逃さないでね」と記載したりすると効果的です。完結した動画でも、「面白かったらぜひシェアしてください」「感想をコメントで教えてください」と呼びかけることで、視聴者の参加意識を高めます。
特にコメント欄は貴重な交流の場です。視聴者からのコメントには可能な限り返信したり、ハートを付けたりして、双方向のコミュニケーションを図りましょう。例えば「次回の展開予想をコメントで教えて!」と問いかければ、多くの反応が期待できますし、寄せられた予想を次回動画内で紹介するなどすれば視聴者の熱量も高まります。
また、作品独自のハッシュタグを作成し(例: #◯◯ドラマ名)、視聴者が感想や二次創作を投稿しやすい仕組みを用意するのも一案です。優秀なファンアートやリアクション動画があれば、自社アカウントで紹介して盛り上げるとコミュニティの一体感が生まれます。
さらに、定期的にライブ配信でキャストや制作陣が裏話を語ったり、視聴者の質問に答えたりすると、ファンとの距離が一層近づきます。InstagramやTikTokのライブ機能を活用して、「◯話公開記念!出演者と生トーク」といったイベントを開催してみましょう。 こうした地道なコミュニティ運営によって、単なる視聴者を熱心なファンへと育てることができます。ファンになったユーザーは次回作を心待ちにしてくれるだけでなく、周囲に拡散してくれたり、自らブランドの支持者になってくれたりする可能性も高まります。縦型ドラマの配信をきっかけに生まれたコミュニティを大切に育て、長期的な顧客エンゲージメントにつなげましょう。
6. 今すぐ始める“最速プロトタイプ”のススメ

縦型ドラマは、スマホ時代に最適化された新しい動画コンテンツの形として大きな可能性を秘めています。マーケティングへの活用メリットも多く、本記事で述べたように低コストで高エンゲージメントを実現できるチャンスがあります。
スマホとアイデアさえあれば、今日からでも縦型ドラマ作りは始められます。ぜひ小さな一歩を踏み出し、時代の波に乗ったコンテンツマーケティングに挑戦してみてください。あなたの手がける縦型ドラマが、新たなバズを生み、ブランドの未来を切り拓くかもしれません。
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