
「展示会に出展するので、ブースのモニターで流す動画を作りたい」「去年は会社紹介動画をそのまま流したが、誰も足を止めてくれなかった」「何分くらいの動画を、どう流せばいいのか分からない」。展示会の準備を担当する営業企画やマーケティングの方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
展示会の会場には、たくさんのブースが並んでいます。来場者は通路を歩きながら、限られた時間でどのブースに立ち寄るかを決めていきます。その一瞬で「何の会社で、自分に関係がありそうか」を伝えられるかどうかが、ブースに人が集まるかどうかを左右します。ブース動画は、この一瞬を担う大切な道具です。ただし、普段Webサイトに載せている動画をそのまま流しても、展示会の会場ではうまく機能しないことが少なくありません。
本記事では、展示会でブース動画が求められる理由と主な種類、尺の目安と流し方、足を止める動画の作り方、会場で失敗しないための上映環境のチェック、費用の目安と会期後の活用方法までを解説します。展示会に向けて動画の制作を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
展示会でブース動画が求められる理由

ブース動画とは、展示会のブースに置いたモニターやスクリーンで流す映像のことです。会社やサービスの紹介、製品の使い方、導入事例などを、通路を歩く来場者やブースに立ち寄った人に向けて伝えます。まずは、展示会で動画が役に立つ理由を整理しておきましょう。
来場者は「情報収集」のために歩いている
展示会に来る人の多くは、その場で何かを決めるためではなく、新しい情報を集めるために会場を回っています。リンクストラテジー株式会社が展示会の来場者400人を対象に行った「BtoB展示会動向調査レポート」によると、来場目的で最も多かったのは「情報収集」で56.25%でした。
情報を集めに来た人は、説明員に話しかけられる前に、まず自分の目で「このブースは自分に関係があるか」を確かめたいと考えます。動画は、説明員が声をかける前の段階で、ブースの中身を伝えてくれる役割を果たします。
製品やサービスへの興味が、立ち寄るきっかけになる
同じ調査では、印象に残ったブースの理由として「商品・サービスへの興味」を挙げた人が44.25%で最も多くなっています。ブースの装飾や配布物も大切ですが、来場者が最後に覚えているのは「何をしている会社で、何が良さそうだったか」です。
製品の動きやサービスの使われ方は、パネルの文字や写真だけでは伝わりにくいものです。動画で実際の様子を見せることで、興味を持つまでの時間を短くできます。
動画を流した企業の多くが効果を感じている
アルファノート株式会社が、展示会で動画を活用している営業企画・マーケティング担当者200名を対象に行った「展示会における動画活用に関する実態調査」(2026年7月実施)では、69.5%が展示会動画に「効果があった」と答えています。効果があったと答えた人に具体的な効果を聞くと、「ブースへの来場者数が増えた」が54.0%、「ブースでの滞在時間が長くなった」が41.0%、「ブース前で立ち止まる来場者が増えた」が40.3%でした。
動画は、人を呼び込むだけでなく、ブースに入った人に長くとどまってもらい、説明員が会話を始めるきっかけを作る道具でもあるといえます。
説明員の負担を減らし、説明の質をそろえられる
展示会の会期中、説明員は同じ説明を何十回、何百回と繰り返します。混み合う時間帯には一人ひとりに丁寧に説明する余裕がなくなり、担当者によって説明の内容や分かりやすさに差が出てしまうこともあります。基本的な説明を動画に任せておけば、説明員は来場者の質問や困りごとを聞くことに時間を使えます。誰が説明しても伝える内容がぶれないという点も、動画を用意するメリットです。
展示会で使うブース動画の主な種類
ひとことでブース動画といっても、置く場所や見せる相手によって、ふさわしい内容は変わります。代表的な種類を知っておくと、何本作るべきか、どれを優先すべきかを考えやすくなります。
通路の人を呼び込むアイキャッチ動画
ブースの外側や高い位置に置いた大きなモニターで流し、通路を歩く人の目を引くための動画です。じっくり見てもらうことは期待せず、数秒見ただけで「何の会社か」「どんな課題を解決するのか」が伝わることを目指します。短い映像を繰り返し流すループ形式で作るのが一般的です。
製品の動きを見せるデモ動画
機械や装置、ソフトウェアなど、実物をブースに持ち込めない、あるいは動かして見せるのが難しい製品の使い方を伝える動画です。大型の設備や工場のライン、屋外で使う製品などは、動画で実際に動いている様子を見せることで、展示パネルだけでは伝わらない魅力を届けられます。
サービス紹介・導入事例の動画
ブースに立ち寄った人や、商談スペースに座った人に向けて、サービスの内容や導入事例を説明する動画です。アイキャッチ動画より長めに作り、説明員がタブレットや小型のモニターで見せながら話を進めるといった使い方もできます。お客様の声や導入後の変化を見せると、来場者が自社に置き換えて考えやすくなります。
ステージやプレゼンで使う映像
ブース内で小さなセミナーやプレゼンを行う場合は、そのオープニング映像や、説明の合間に流す映像も必要になります。人が集まっているタイミングで流すため、アイキャッチ動画とは違い、最初から最後まで見てもらう前提で構成できます。
ブース動画の尺の目安と、流し方の考え方

ブース動画の長さは、「どこで、誰に、どのくらいの時間見てもらうか」で決まります。1本の動画ですべてを伝えようとせず、役割ごとに長さを分けて考えるのがポイントです。
アイキャッチ動画は短く、ループで流す
通路を歩く人がモニターを見るのは、ほんの数秒です。アイキャッチ動画は、どこから見始めても内容が伝わるように、短い映像を繰り返し流すつくりにします。冒頭の数秒で会社名やサービス名、解決できる課題が分かるようにし、最後まで見なくても伝わる構成にしておくことが大切です。
説明用の動画は1〜3分程度が扱いやすい
前述のアルファノート株式会社の調査では、展示会で上映している動画の長さは「1分~2分未満」が37.5%で最も多くなっています。サービス紹介やデモの動画は、立ち寄った人が無理なく見られる長さに収めると、説明員の話にもつなげやすくなります。
内容が多い場合は、1本を長くするよりも、「製品の概要」「使い方」「導入事例」のように短い動画に分けておくほうが便利です。来場者の関心に合わせて、説明員が見せる動画を選べるようになります。
1本を作り直すより、場面ごとに用意する
Webサイト用に作った5分の会社紹介動画を、そのままブースで流すケースは少なくありません。しかし、Web用の動画は「最初から最後まで見てもらう」前提で作られているため、途中から見た人には内容が伝わりにくくなります。すでにある動画を生かす場合も、アイキャッチ用に短く編集し直したり、文字を大きくしたりするだけで、会場での伝わり方は大きく変わります。
プレゼン用の映像は持ち時間に合わせる
ブース内で小さなセミナーやプレゼンを行う場合は、1回あたりの持ち時間と、1日に何回行うかを先に決めておきましょう。オープニング映像は短くまとめて本題に入りやすくし、説明の途中で流す映像は、話の流れに合わせて区切っておくと進行しやすくなります。プレゼンをしていない時間はアイキャッチ動画に切り替えるなど、1日の流れの中でどの動画をいつ流すかを決めておくと、ブースのモニターを無駄なく使えます。
足を止めるブース動画の作り方

ここからは、展示会の会場で実際に効果を出すための作り方のポイントを紹介します。Web用の動画とは見られ方が違うことを前提に、企画の段階から考えておきましょう。
伝えることを1つに絞る
ブース動画で最も多い失敗は、伝えたいことを詰め込みすぎることです。会社の歴史、製品のラインアップ、技術の特長、導入実績をすべて入れると、通路を歩く人には何も残りません。「誰の、どんな困りごとを解決する会社なのか」を一文で言えるところまで絞り込み、それを映像の中心に置きましょう。
絞り込むときは、展示会のテーマと来場者の顔ぶれを手がかりにします。同じ製品でも、出展する展示会によって来場者が知りたいことは変わります。たとえば、製造業向けの展示会であれば現場の作業がどう楽になるか、経営者が多く集まる展示会であればコストや人手の課題がどう解決するかといったように、その会場に来る人が最も気にしていることに合わせてメッセージを選ぶと、足を止めてもらいやすくなります。
音が聞こえなくても伝わるように作る
展示会の会場は、周りのブースの呼び込みやアナウンスでにぎやかです。音を出しても聞き取りにくく、主催者の出展規定で音量や音の出し方に決まりが設けられている場合もあります。ナレーションに頼らず、映像と文字だけで内容が伝わるように作るのが基本です。音声を入れる場合も、同じ内容を字幕やテロップで画面に出しておきましょう。
文字は大きく、少なく
ブースのモニターは、少し離れた通路から見られることを想定しておく必要があります。パソコンの画面で確認したときにちょうどよい文字の大きさでも、会場では小さすぎて読めないことがあります。1画面に出す文字は短いフレーズにとどめ、背景とのコントラストをはっきりさせて、遠くからでも読めるようにしましょう。
最初の数秒で「何の会社か」を見せる
アイキャッチ動画では、ロゴのアニメーションや雰囲気のあるイメージ映像から始めるよりも、製品が動いている様子や、課題が解決される場面をいきなり見せるほうが効果的です。来場者がモニターに目を向けたその瞬間に、何の会社か、自分に関係があるかを判断できるようにしておきましょう。
会場のモニターで映える画を撮る
ブース動画は、パソコンやスマートフォンの画面よりも大きなモニターで、明るい会場の照明の下で見られます。引きの画ばかりだと、何が映っているのか分かりにくくなります。製品の動く部分や、手元の操作、使っている人の表情などを寄りの画でしっかり撮っておくと、遠くから見ても内容が伝わりやすくなります。
撮影の前に、どの場面を動画のどこで使うかを決めておくことも大切です。アイキャッチ用の短いカットと、説明用の動画で使うカットを同じ撮影でまとめて押さえておけば、後から撮り直す手間を減らせます。
ブースの装飾や配布物とメッセージをそろえる
動画だけが目立っていても、ブースの看板やパネル、配布するチラシと言っていることがばらばらでは、来場者の記憶に残りません。動画のキャッチコピーと、ブースの看板の言葉、説明員が最初に話す内容をそろえておくと、短い時間でも同じメッセージが繰り返し伝わり、印象に残りやすくなります。
会場で失敗しないための上映環境チェック
動画の内容が良くても、会場で正しく再生できなければ意味がありません。展示会の当日に慌てないよう、制作を始める段階で上映環境を確認しておきましょう。
モニターの大きさと向き、設置する高さ
動画は、映すモニターに合わせて作る必要があります。横長のモニターなのか、縦長のデジタルサイネージなのかによって、構図や文字の配置がまったく変わるためです。設置する高さによっても見え方は変わり、低い位置のモニターは前に人が立つと隠れてしまいます。ブースの図面ができた段階で、モニターの大きさと向き、置く場所を制作会社と共有しておくと安心です。
再生する機器と、ファイルの形式
モニターに直接USBメモリを差して再生するのか、パソコンやメディアプレーヤーをつなぐのかによって、対応しているファイルの形式や再生できる画質が異なります。レンタルのモニターを使う場合は、事前に同じ機種で再生できるかを試しておくと、当日のトラブルを防げます。ループ再生の設定ができるかも、あわせて確認しておきましょう。
電源と、予備のデータ
モニターやプレーヤーを使うには、ブースに電源が必要です。電源の申し込みは出展者が事前に行う必要がある場合が多いため、展示会の出展マニュアルで締め切りを確認しておきましょう。また、当日にデータが読み込めないといった事態に備えて、動画のデータは複数のUSBメモリやパソコンに入れて持っていくと安心です。
会場と同じ条件で試写しておく
動画が完成したら、できるだけ会場と同じ条件で一度流してみましょう。実際に使うモニターや同じくらいの大きさの画面に映し、数メートル離れた場所から見て、文字が読めるか、明るい場所でも映像が見えるかを確かめます。ループ再生の切れ目で黒い画面が長く出ていないか、音を消した状態でも内容が伝わるかもあわせて確認しておくと、当日のブースで慌てずに済みます。
ブース動画の費用の目安と、会期後の活用

ブース動画の費用は、新しく撮影するのか、手元の素材を編集するのか、アニメーションで作るのかによって大きく変わります。費用を考えるときは、展示会の当日だけでなく、会期後にどう使うかもあわせて考えておくと、投資の価値が高まります。
費用の内訳と目安
動画の費用は、主に企画・構成費、撮影費、編集費で構成されます。撮影費はカメラマンやディレクターの人件費、機材費などで、相場は10万〜100万円以上と幅広く、撮影の日数や場所、スタッフの人数によって変わります。編集費はカット編集やテロップ、BGMの選定などの費用で、5万〜50万円程度が一般的です。
製品の仕組みやサービスの流れを図や文字を動かして見せるアニメーションで作る場合は、シンプルなモーショングラフィックスであれば30万〜50万円から、凝った表現を加えると100万円以上を見込んでおくとよいでしょう。
費用を抑えるコツ
すでに会社紹介動画や製品の映像がある場合は、それを素材として生かし、展示会用に短く編集し直すことで、撮影費を抑えられます。また、アイキャッチ用の短い動画と、説明用の長めの動画を同じ撮影でまとめて作ると、別々に依頼するよりも効率よく制作できます。展示会の日程から逆算して早めに相談すると、撮影の日程や内容を調整しやすくなり、急ぎの対応による費用の上乗せも避けられます。
制作会社に最初に伝えておきたいこと
見積もりを依頼するときは、展示会の名前と会期、ブースの大きさ、モニターの台数と向き、動画を何本作りたいか、会期後に使う予定があるかを伝えると、話がスムーズに進みます。手元にある会社紹介動画や製品の写真、パンフレットなども一緒に見せると、どこまで既存の素材を生かせるかを判断しやすくなり、費用の見通しも立てやすくなります。
会期後も使える形で作っておく
展示会のために作った動画は、会期が終わった後も活用できます。展示会で名刺交換をした方へのお礼メールに動画のリンクを添えれば、ブースで話した内容を思い出してもらうきっかけになります。ほかにも、Webサイトの製品ページやYouTube、SNSへの掲載、営業担当者が商談で見せる資料、次回以降の展示会など、使い道はたくさんあります。
最初から会期後の使い道を決めておくと、横長と縦長の両方の形で書き出しておく、音声ありと音声なしの版を用意しておくといった準備を、制作の段階でまとめて行えます。
よくある質問

Q. 展示会のどのくらい前に制作会社へ相談すればよいですか?
新しく撮影を行う場合は、企画・構成、撮影、編集、確認と修正の時間が必要になるため、できるだけ早めにご相談いただくのが安心です。ブースのデザインや配布物と同時に動画の企画を進めると、メッセージをそろえやすくなります。手元の素材を編集するだけであれば短い期間で対応できることもあるため、日程が迫っている場合も、まずは展示会の日程を伝えて相談してみてください。
Q. 縦長のデジタルサイネージでも流せますか?
流せます。ただし、横長の動画を縦長の画面にそのまま映すと、上下に大きな余白ができて小さく見えてしまいます。縦長の画面で流す場合は、最初から縦の構図で撮影・編集するか、横長の動画を縦長に作り直す必要があります。どちらの画面で流すかが決まった段階で、制作会社に伝えておきましょう。
Q. 音は出したほうがよいですか?
会場の環境や出展規定によって異なりますが、音が聞こえなくても内容が伝わるように作っておくのが基本です。ブース内でのプレゼンや、商談スペースで説明員が見せる動画など、近くでじっくり見てもらう場面では、ナレーションやBGMを入れた版を使い分けるとよいでしょう。
Q. 会社紹介動画をそのまま流してはいけませんか?
流してはいけないわけではありませんが、Web用に作った動画は、展示会の会場では長すぎたり、音がないと内容が分からなかったりすることがよくあります。既存の会社紹介動画を生かして、アイキャッチ用に短く編集し直し、文字を大きくするだけでも、会場での効果は変わります。
Q. 社内で撮影した映像を使って編集だけ頼めますか?
依頼できます。社内で撮りためた製品の映像や、工場・現場の様子を撮影した素材を使って、展示会向けに編集することは可能です。ただし、画質が低い映像や暗い映像は、大きなモニターで流すと粗さが目立つことがあります。素材を見たうえで、そのまま使える部分と撮り直したほうがよい部分を分けてご提案することもできるので、まずは手元の素材を見せて相談してみてください。
まとめ:ブース動画は「一瞬で伝える」ために作る
展示会のブース動画は、通路を歩く来場者に、一瞬で「何の会社で、自分に関係があるか」を伝えるための映像です。伝えることを1つに絞り、音がなくても伝わるように文字を大きくし、最初の数秒で製品や課題の解決を見せることで、足を止めてもらえる動画になります。アイキャッチ用の短い動画と説明用の動画を分けて用意し、モニターの向きや再生機器、電源といった上映環境も早めに確認しておきましょう。
また、ブース動画は展示会の当日だけで終わらせるのはもったいない映像です。会期後のお礼メールやWebサイト、商談、次回の展示会まで使えるように計画しておくと、出展にかけた費用以上の価値を生み出せます。
アクエリアス・ムービーでは、展示会のブース動画をはじめ、会社紹介や製品紹介、採用の動画を、企画・構成から撮影、編集まで一貫してお手伝いしています。何を伝えるべきか、どんな形式が合っているかといった段階から、一緒に考えます。
こんな方は、まず一度ご相談ください
展示会への出展が決まり、ブースで流す動画を新しく作りたい方や、去年流した動画の反応が思わしくなかった方、手元の会社紹介動画を展示会向けに作り直したい方は、ぜひ一度お声がけください。出展する展示会の内容やブースの計画をうかがったうえで、アイキャッチ用と説明用の動画の組み合わせから、会期後の活用までを含めてご提案します。詳しくはアクエリアス・ムービーをご覧ください。
逆に、まだ相談しなくても大丈夫な方
出展するかどうかがまだ決まっていない段階であれば、まずは出展の目的と、展示会で誰に会いたいのかを社内で整理しておくことから始めてみてください。それが決まると、動画で何を伝えるべきかも自然と見えてきます。出展が決まり、ブースの計画が動き出したら、改めてご相談いただければ幸いです。

