
「会社紹介動画を作りたいが、何分くらいにすればいいのか分からない」「伝えたいことを全部入れたら10分を超えてしまった」「SNS用とWebサイト用で、同じ長さの動画を使い回してもいいのだろうか」。動画を作ろうとしている企業の広報や人事、マーケティングの担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。
動画の長さは、制作の最初に決めることのひとつです。長さが決まらないと、台本の分量も、撮影するカットの数も、編集の手間も決まりません。そして、長さの判断を誤ると、せっかく作った動画が途中で閉じられたり、伝えたいことが伝わらないまま終わったりしてしまいます。一方で、「動画は短いほど良い」とひとくくりにできるものでもありません。
本記事では、企業動画の長さが成果を左右する理由、尺を決めるための考え方、目的別・媒体別の長さの目安、ちょうど良い長さにまとめるコツ、尺と費用の関係までを、動画制作会社の立場から解説します。これから動画の企画を考える方は、社内で長さを話し合うときの材料としてぜひ参考にしてください。
企業動画の「長さ」が成果を左右する理由
動画の長さは、見る人がどこまで見てくれるか、そして見たあとに何が残るかに直接関わります。まずは、長さを決めることがなぜ大切なのかを整理しておきましょう。
長すぎる動画は、伝えたいところまで見てもらえない
見る人は、動画を開いた瞬間から「この動画は自分にとって見る価値があるか」を判断しています。前置きが長かったり、同じような説明が続いたりすると、いちばん伝えたい内容にたどり着く前に再生を止めてしまいます。特に、仕事の合間にスマートフォンで見る人や、たくさんの動画の中から1本を選んで見ている人ほど、判断は早くなります。
社内では「これも伝えたい」「あれも入れておきたい」と内容が増えていきがちですが、見る人にとって必要のない情報が入るほど、本当に伝えたいことが埋もれてしまいます。
短すぎる動画は、必要な情報が入りきらない
反対に、短くしすぎるのも問題です。たとえば、採用説明会で会社の仕事内容をじっくり知りたい学生に、30秒の動画だけを見せても、印象には残っても理解にはつながりません。研修動画で手順を省略しすぎると、見たあとに結局人に聞かなければならなくなります。
見る人が「知りたい」と思って見に来ている場面では、必要な情報がきちんと入っていることのほうが大切です。短さそのものが目的ではないという点は、押さえておきましょう。
尺は台本・撮影・編集の量を決める
動画の長さは、制作の段取り全体にも関わります。尺が決まれば、ナレーションやインタビューの分量、必要なカットの数、撮影にかかる日数のおおよその見通しが立ちます。逆に、長さを決めないまま撮影を始めると、素材が足りなくなったり、使わない素材を大量に撮ったりして、時間も費用も無駄になりがちです。企画の段階で「何分の動画を作るのか」を決めておくことが、スムーズな制作の第一歩です。
尺を決める3つの軸:目的・見る人・見る場所

動画の最適な長さは、「目的」「見る人」「見る場所」の3つを組み合わせて考えると決めやすくなります。どれか1つだけで決めるのではなく、3つを順に確認していきましょう。
目的:知ってもらう動画か、理解してもらう動画か
まず考えたいのは、その動画で何を達成したいかです。会社や商品の存在を「知ってもらう」ための動画であれば、短く印象に残すことが大切です。一方、仕組みや手順を「理解してもらう」ための動画であれば、説明に必要な時間をきちんと取る必要があります。
さらに、「問い合わせをしてもらう」「応募してもらう」など、見たあとの行動を目的にする場合は、動画の最後に次の行動を案内する時間も含めて長さを考えます。
見る人:関心の高さで、見られる長さが変わる
同じ内容の動画でも、見る人の関心の高さによって、最後まで見てもらえる長さは変わります。まだ会社のことを知らない人は、数十秒でも長いと感じることがあります。一方、商談を進めている取引先や、応募を考えている求職者、受講が必要な社員など、すでに関心を持っている人は、数分から十数分の動画でもしっかり見てくれます。
「誰が、どのくらいの関心を持った状態で見るのか」を想像すると、適切な長さが見えてきます。
見る場所:どこで、どんな状態で再生されるか
動画が再生される場所も、長さを決める大事な要素です。SNSのタイムラインで流れてくる動画は、ほかの投稿と並んで次々に見られるため、短いほうが向いています。Webサイトに埋め込む動画は、ページを読みに来た人が見るので、ある程度の長さでも見てもらえます。展示会のブースや店頭のモニター、会議室での上映など、その場の状況によっても、ちょうど良い長さは変わります。
決めた長さは、関係者で最初に共有しておく
3つの軸で長さを決めたら、企画書や構成案に「〇分程度」と書き、社内の関係者と最初に共有しておきましょう。動画の制作では、確認の段階で役員や他部署から「この話も入れてほしい」という要望が出て、少しずつ長くなっていくことがよくあります。最初に長さと、その長さにした理由を共有しておけば、追加の要望が出たときにも「この動画では入れない」「別の動画で扱う」と判断しやすくなります。
【目的別】企業動画の長さの目安

ここからは、企業でよく作られる動画の種類ごとに、長さの目安を紹介します。あくまで目安なので、実際には前の章で紹介した3つの軸と合わせて調整してください。
| 動画の種類 | 長さの目安 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 会社紹介・企業PR動画 | 2〜3分程度 | Webサイト、商談、展示会 |
| 採用動画 | 3〜5分程度(説明会向けは5〜10分) | 採用サイト、求人媒体、会社説明会 |
| 社員インタビュー動画 | 1人あたり1分30秒〜2分30秒 | 採用サイト、SNS |
| 商品・サービス紹介動画 | 1〜3分程度 | Webサイト、営業資料、展示会 |
| 研修・マニュアル動画 | 1テーマ5〜10分程度 | 社内研修、業務の引き継ぎ |
| SNS用の短い動画・広告 | 数秒〜60秒程度 | YouTubeショート、リール、動画広告 |
会社紹介・企業PR動画は2〜3分程度
会社紹介動画は、Webサイトのトップページや会社概要のページ、商談の冒頭などで使われることが多い動画です。事業内容、強み、働く人や雰囲気を、一通り伝えられる長さとして2〜3分程度が扱いやすいでしょう。沿革や代表のメッセージ、各事業の詳しい説明まで1本に入れようとすると長くなりすぎるため、詳しい内容は別の動画やページに分けることをおすすめします。
採用動画は使う場面で長さを変える
採用動画は、採用サイトや求人媒体に載せるなら3〜5分程度、会社説明会で上映するなら5〜10分程度が目安です。社員インタビューを入れる場合は、1人あたり1分30秒〜2分30秒程度にまとめると、話の要点を残しながらテンポよく見てもらえます。SNSで応募を呼びかける場合は、60秒程度の短い動画を別に用意すると使いやすくなります。
商品・サービス紹介動画は1〜3分程度
商品やサービスの紹介動画は、「何ができるのか」「誰のどんな困りごとを解決するのか」が伝われば、まずは役割を果たせます。1〜3分程度にまとめ、詳しい機能や操作方法は、別の動画や資料で補う形が向いています。展示会のブースで流す場合も、立ち寄った人が無理なく見られる長さに収めると、説明員の話につなげやすくなります。
研修・マニュアル動画は1テーマ5〜10分程度
研修やマニュアルの動画は、見る人が「学ぶ必要がある」状態で見るため、ほかの動画よりも長くても見てもらえます。ただし、1時間の講義をそのまま1本にすると、途中で集中が切れたり、後回しにされたりしがちです。テーマごとに5〜10分程度に分け、1本で1つのことが分かるようにすると、業務の合間にも見やすくなります。
ブランドムービー・周年記念動画は「見せる場」で決める
ブランドムービーや周年記念動画は、式典や社内イベントで上映するのか、Webサイトで公開するのかによって長さが大きく変わります。会場で上映する場合は、式典の進行の中で何分使えるかを先に確認し、その時間に合わせて構成を組みます。Web用には、同じ素材から短く編集したものを別に用意しておくと、両方の場面で活用できます。
【媒体別】掲載先ごとの尺の考え方

同じ動画でも、どこに載せるかによって、向いている長さは変わります。主な掲載先ごとの考え方を見ていきましょう。
Webサイトに載せる動画
Webサイトに載せる動画は、そのページを見に来た人が再生するため、ある程度の長さがあっても見てもらえます。ただし、トップページの背景で自動再生する動画は、音を出さずに流れることが多く、数十秒程度の映像をくり返し流す形が一般的です。会社紹介や採用のページなど、内容をしっかり伝えたいページには、2〜5分程度の動画を置くとよいでしょう。
YouTubeの通常の動画
YouTubeの通常の動画には、長さの制限を気にせず、内容に必要な長さで作れるという利点があります。セミナーやノウハウの解説など、じっくり見てもらいたい内容には向いています。その分、冒頭で「この動画で何が分かるのか」を伝え、見る人が途中で離れないよう構成を工夫することが大切です。YouTubeの「アナリティクス」では、視聴者維持率(動画のどの時点まで見られているか)を確認できるので、公開後の改善にも役立ちます。
YouTubeショート・Instagramのリールなどの縦型動画
縦型の短い動画は、スマートフォンで次々に見られることを前提にしたフォーマットです。YouTubeの公式ブログによると、2024年10月15日から、最長3分のショート動画をアップロードできるようになりました。Instagramも、2025年1月にリールの長さの上限を90秒から3分に延ばすと発表しています。
ただし、上限が延びたからといって、長くすればよいわけではありません。タイムラインで流れてくる動画は、最初の数秒で興味を持ってもらえなければ、すぐに次の動画へ移られてしまいます。企業の発信では、まず15〜60秒程度で要点を伝える動画を作り、反応を見ながら長さを調整していくのが現実的です。
YouTubeの動画広告
YouTubeの動画広告は、広告の種類によって長さの決まりがあります。Google 広告のヘルプによると、バンパー広告は5〜6秒のスキップできない広告で、スキップ可能なインストリーム広告は、再生開始から5秒が経過すると視聴者がスキップできるようになります。スキップ不可のインストリーム広告は、60秒以下の動画広告とされています。
特にスキップ可能な広告では、最初の5秒で「自分に関係がある」と思ってもらえるかが勝負になります。会社名や商品名、見る人にとっての利点を、冒頭に置く構成を意識しましょう。
展示会・イベント・商談で流す動画
展示会のブースで通路の人の目を引く動画は、数秒見ただけで何の会社かが伝わる短い映像をくり返し流す形が向いています。サービスの説明やデモの動画は、1〜3分程度が扱いやすい長さです。商談で見せる動画は、相手の時間をいただいている場面なので、話の流れを止めない2〜3分程度に収めると、そのあとの説明や質疑にも時間を使えます。
社内向けの動画(全社メッセージ・社内報など)
代表のメッセージや社内報の動画など、社員に向けた動画は、業務の合間に見られることが多いものです。見る義務がある研修動画とは違い、見るかどうかは社員に任されているため、長すぎると後回しにされてしまいます。全社への大事なメッセージでも、要点を3〜5分程度にまとめ、詳しい内容は資料や別の動画で補うと、より多くの社員に見てもらいやすくなります。
ちょうど良い長さにまとめるためのコツ

目安の長さが決まっても、実際に台本を書いてみると、内容が入りきらないことはよくあります。ここでは、決めた長さに無理なく収めるためのコツを紹介します。
1本の動画で伝えることは1つに絞る
長さが延びる原因の多くは、1本の動画に伝えたいことを詰め込みすぎることです。「この動画を見た人に、何を1つ覚えて帰ってほしいか」を最初に決め、それ以外の内容は思い切って削るか、別の動画に分けます。伝えることが絞られていれば、見る人も内容を理解しやすくなります。
冒頭の数秒で「何の動画か」を伝える
どの長さの動画でも、冒頭は特に大切です。会社のロゴや前置きから始めるのではなく、見る人が知りたいことや、動画を見るとどんなことが分かるのかを最初に示しましょう。冒頭で興味を持ってもらえれば、少し長い動画でも最後まで見てもらいやすくなります。
台本は声に出して読み、時間を測る
ナレーションやインタビューの台本は、文字で読むと短く感じても、実際に声に出すと思ったより時間がかかります。台本ができたら、話すスピードで読み上げて時間を測り、映像を見せるための間も含めて、決めた長さに収まるかを確認しましょう。撮影前にこの確認をしておくと、編集の段階で大きく削る必要がなくなります。
長い動画と短い動画を作り分ける
1本の動画ですべての場面に対応しようとすると、どの場面にも中途半端な長さになりがちです。たとえば、Webサイト用に3分の動画を作り、同じ素材からSNS用の30秒版や、展示会用のくり返し再生用の映像を作る、という方法があります。撮影の段階から複数の長さに編集することを想定しておけば、追加の撮影をせずに作り分けられます。
公開後のデータで長さを見直す
最適な長さは、公開してみて初めて分かることも少なくありません。YouTubeであれば視聴者維持率を確認し、多くの人が離れている場面があれば、次の動画ではその部分を短くしたり、順番を入れ替えたりします。数字をもとに少しずつ調整していくことで、自社の視聴者に合った長さが見えてきます。
尺が変わると費用はどう変わる?
「短い動画なら安く作れるのでは」と考える方は多いのですが、動画の費用は長さだけで決まるわけではありません。ここでは、尺と費用の関係を整理します。
費用を左右するのは、尺よりも撮影と編集の手間
動画制作の費用は、撮影の日数やスタッフの人数、出演者の有無、編集の手間などで決まります。たとえば、固定カメラで撮影するセミナー動画なら、10分以上の長さでも費用を抑えられることがあります。反対に、15秒のWeb CMでも、出演者を起用して複数のカットを撮影すれば、100万円を超えることは珍しくありません。目安として、1分程度の動画で50万〜200万円程度、5分以上の動画で80万〜300万円程度ですが、内容によって幅があります。
短い動画ほど、構成と編集に時間がかかることもある
短い動画は、限られた時間の中で伝える内容を選び抜く必要があるため、構成を考える時間や、カットを細かく選ぶ編集の時間がかかることがあります。「短いから簡単」とは限らない点は、見積もりを比べるときにも知っておきたいポイントです。
複数の長さをまとめて作ると効率がよい
Webサイト用、SNS用、展示会用など、複数の長さの動画が必要な場合は、別々に依頼するよりも、1回の撮影でまとめて作るほうが効率的です。撮影の段取りや素材を共有できるため、それぞれを一から作るより手間を抑えられます。最初の相談の段階で、使う予定の場面をすべて伝えておくとよいでしょう。
企業動画の長さについてよくある質問
Q. 動画は短ければ短いほど良いのですか?
必ずしもそうではありません。初めて会社を知る人に向けたSNSの動画や広告は短いほうが向いていますが、採用説明会や研修など、見る人が内容を知りたいと思っている場面では、必要な情報が入っていることのほうが大切です。目的と見る人に合わせて、必要な長さを決めましょう。
Q. 伝えたいことが多く、どうしても長くなってしまいます。
その場合は、1本の動画にまとめるのではなく、テーマごとに複数の動画に分けることをおすすめします。たとえば、会社紹介動画は全体像を伝える短い1本にして、事業ごとの詳しい説明は別の動画にする、といった形です。見る人は、自分が知りたいテーマの動画だけを選んで見られるようになります。
Q. 1本の動画を、SNS用とWebサイト用で使い回してもよいですか?
使い回すことはできますが、そのままでは効果が出にくいことがあります。横長の動画を縦型の画面で流すと、映像が小さくなったり、大事な部分が切れたりします。同じ素材を使いながら、媒体ごとに長さと画面の向きを変えて編集するのがおすすめです。撮影の段階から縦型での使用を考えておくと、編集の自由度が上がります。
Q. 長さは、制作会社に任せてもよいですか?
最終的な長さは、制作会社と相談しながら決めて問題ありません。ただし、動画を使う場面や見てほしい人、上映できる時間などは、依頼する側にしか分からない情報です。最初の打ち合わせでこれらを伝えておくと、制作会社から最適な長さを提案してもらいやすくなります。
Q. 完成した動画を、あとから短くすることはできますか?
編集で短くすることはできます。ただし、もともと長い動画として構成されているものを短くすると、話のつながりが不自然になることがあります。短い版が必要になりそうな場合は、最初から短い版も作る前提で構成と撮影を考えておくと、仕上がりが良くなります。
まとめ:動画の長さは「誰に・どこで見せるか」で決める
企業動画の最適な長さに、すべての動画に当てはまる正解はありません。動画の目的、見る人の関心の高さ、再生される場所の3つを順に考えることで、その動画にとってちょうど良い長さが見えてきます。
会社紹介動画なら2〜3分程度、採用動画は場面に応じて3〜10分程度、研修動画は1テーマ5〜10分程度、SNS用の動画は数秒〜60秒程度が、ひとつの目安です。そのうえで、伝えることを1つに絞り、冒頭で何の動画かを伝え、台本の時間を事前に確かめることで、決めた長さに無理なく収められます。公開後は視聴データを見ながら、少しずつ長さを調整していきましょう。
アクエリアス・ムービーでは、会社紹介動画や採用動画、研修動画、SNS用の縦型動画など、企業のさまざまな動画を企画から撮影、編集まで一貫して制作しています。1回の撮影から、Webサイト用とSNS用など複数の長さの動画を作り分けるご提案もしています。
こんな方は、まず一度ご相談ください
動画を作りたいが、何分にすればよいのか、どの媒体に載せるのがよいのか決めきれない方や、Webサイト用とSNS用、展示会用など、複数の場面で使える動画をまとめて作りたい方、以前作った動画が長すぎて最後まで見てもらえていないと感じている方は、ぜひ一度お声がけください。動画の目的と見る人、使う場面をうかがったうえで、長さと構成、費用の目安までご提案します。詳しくはアクエリアス・ムービーをご覧ください。
逆に、まだ相談しなくても大丈夫な方
まだ動画を作るかどうか決めていない段階であれば、まずは社内で「その動画を、誰に、どこで見てほしいか」を話し合ってみてください。使う場面を書き出してみるだけでも、必要な動画の本数や長さのイメージがつかめてきます。そのうえで、具体的な構成や撮影について相談したくなったときに、改めてお声がけいただければ幸いです。

